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2009/05/25

唐辺葉介「犬憑きさん」上・下巻 感想

ガンガンONLINEで連載され、スクウェア・エニックス・ノベルズから出版された唐辺葉介氏の「犬憑きさん」上・下巻読了です。下巻は5月22日発売の新鮮ほやほや。

犬憑き少女と、管持ちお嬢様が活躍する学園怪奇小説。犬憑きは犬神憑き、管持ちは管狐を使役者ということは、ラノベファンなら説明なしにわかるでしょう。良くあるラノベの設定なのですが、少女達の心の機微に焦点をあてている点が新鮮でした。

犬憑きさん(いぬつきさん)
(犬憑きさん:楠瀬歩 肩の上のハムスターが犬神)


第1話のあらすじは・・・

少女は同級生を殺したいと思う。理由は残酷ないじめを受けたから。殺害方法は蠱毒(こどく)に決めた。蠱毒とは生け贄を必要とする残酷な呪いのことをいう……。女子校を舞台に陰で巻き起こるオカルト事件と、異端の犬憑き少女の活躍を描く学園怪奇小説開幕。

ということで、美麗で可愛いイラストとは違って内容は結構ヘビー?と思ってしまいます。

けれど実際はオカルトにメーターが振り切れるわけでなく、逆に学園物の爽やかさや、少女達の交流にココロ和んだりと重くなりがちな展開をさらりと表現されています。また全ての運命を受け止めて、なお生きるしかないという作者の人生感が垣間見る事ができます。

第1話「蟲毒」で、犬憑きさが幸せになりたくて人を呪った少女に贈る言葉。
最終話「犬神」で、犬憑きさんが、たどり憑いた管持ちさんに笑顔で語る言葉。

あたたかで、それでいて切なく響きました。
Tiv氏が描く歩むの笑顔のイラストがあまりにもマッチしすぎて、涙が出てきたほどです。

著者の唐辺葉介氏は、スクウェア・エニックス・ノベルズ「PSYCHE(プシュケ)」でデビューした新人さんです。

噂では惜しまれつつエロゲ界から去った名シナリオライター 瀬戸口廉也 ではないかという話しも。人の心の機微と世の無常、その上であがく人の美しさを描く、瀬戸口氏の力量は、エロゲ業界でも抜きん出た才能でした。エロゲ業界で残した作品はわずか3つ。

「CARNIVAL」、「SWAN SONG」、「キラ☆キラ

どの作品も人間のココロの根幹に触れる良い作品でした。言葉の上っ面ではなく、行間や物語全体をしっかりと読むと、どんな世界であっても、境遇であっても、たとえ最後の数刻であったとしても人間はただ、その時々を真剣に生きるべきという、人間賛歌が根幹あるように感じられました。


「犬憑きさん」の編集者あとがきに、唐辺氏には、揺るぎない個性の鮮烈さがあると語られています。人を呪った少女に、ただ普通の人生を懸命に生きろと語る犬憑きさんの言葉。辛辣な突き放す言葉であり、同時に全てを包む赦しの言葉でもあるように思えました。私は唐辺氏の個性に、生への信念を感じました。

唐辺氏と瀬戸口氏が同一人物かは知りえませんが、お二方とも強い信念を表現する作家と思います。瀬戸口氏の名はこれから表舞台から姿を消し、その珠玉の作品も歴史の忘却に埋もれていくことでしょう。ただ唐辺氏は新人さんであり、次回作タイトル「暗い部屋」も発表され、これからライトノベル界に名が知れ渡ってくると私は思っています。まだ名が知られていない唐辺氏ですが、きっと犬憑きさんのアニメ化なんて話を数年後に、このブログで紹介しているような期待感があります。

デビュー時に将来絶対ブレイクするだろうと思ったラノベ作家の面々はというと・・・西尾維新氏、三雲岳斗氏、甲田学人氏、杉井光氏。何名かはアニメ化作品に恵まれ、何人かは未だ不遇ですね。そんな面々の中に唐辺氏を加える程に期待しています。


2008/05/25:追記

唐辺氏のblogを見つけました。プロフィールを抜粋すると・・・

色々やって来ましたが、今は小説家だとかシナリオライターだとか呼ばれるような仕事をしています。
こう肩書きとして記すとなんだか恥ずかしい自己紹介になってしまいますが、かといって肩書きを書かなければ何者なんだか判りません。
厭な世の中です。

シナリオライターって、唐辺氏=瀬戸口氏説が補強されましたな。

 

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