« ぶらんくのーと『ひまわり』プロローグ『こもれび』 予約開始 | トップページ | うみねこTVアニメ版 メインキャスト決定 »

2008/07/30

MJ文庫J 片岡とも ナルキッソス 感想

片岡とも氏の同人ゲーム「ナルキッソス」がラノベとして
一般書店で販売開始した事は以下関連記事でお伝えしました。

【関連記事:片岡とも ナルキッソス MJ文庫Jから発売

早速、読んでみたので簡単に感想でも。

top_image

まず雰囲気は同人ゲームのまんま。
あとがきでラノベらしくないと著者が語っていますが、
同人ゲーム自体もエンターテイメントとしてお客様寄りでない事は確か。
淡々と進む、そのそっけなさが逆に重く心に圧し掛かります。


同人ゲームにかなりの加筆を加えており、
主人公・ヒロインの2人と、彼らを想う人々の
つまり死に行く者と、彼らを見送らねばならない者、
大きく2つの切り口で物語が語られる事に変更されています。

この加筆が成功か否かを問われると、
より一層現実にそぐわない嘘臭い話になってしまったのは残念。
とはいえ後先の無い2人にも、想う人々が居て、
何らかの形でつながっている事が表現されていたのは良かったかな。

加筆に伴ない新キャラが増えています。
ナルキッソス2ndの篠原姫子をアレンジしたキャラも登場。
年齢やら設定はかなり変えられていますけれど。

この辺りの絡みにより、2人の逃避行という幻想めいた物語が揺らぎ、
幻想の虚飾が剥れおち、苛酷な2人の運命がさらけだされた感がします。

 

narci_pin


片岡とも氏得意の言い回し・・・

~の日のこと。

この客観視点で突き放した言い回しが、たまらなく好きだったりします。
主観視点で絶望するような、または絶望する事にも絶望した状況も、
社会だとか時代だとか大きなうねりの前には、
良くある1つの不幸話にしかすぎず、悠久なる時は刻み続ける。
そんな印象を抱くんですね。


また逆に、客観視する事によって、感情移入しないようにしてきた
怖がりな自分の心にも気づいたりします。

例えば、3万五千の命の消失は、社会の傾向や縮図として、
役所がまとめた白書において、客観的に数値化されます。

しかし、その3万5千の命の消失は、
主観的には無限ともいえる葛藤の時間を重ねた結果であり、
その1つ1つが奏でただろうドラマが内包されているわけです。


本書の最期に辿りついた某所で交わされる主人公・ヒロインの会話。
対して至極客観的で数値的にあらわされたヒロインの素性。
この残酷なる対比により、詮無さで心が一杯になります。

 

内容にはあまり触れず抽象的な感想に徹したのは、
是非、読んでいただいて欲しいからです。

ライトノベルを読んで、命から連なる様々なテーマに
思いを馳せる切っ掛けにはなるなんて、
そう経験できない事と思いますよ。 おすすめ。

〔MF文庫J〕ナルキッソス (MF文庫 J か 5-1)
4840123659 ごとP/黒井みめい

メディアファクトリー 2008-07-23
売り上げランキング : 633


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

« ぶらんくのーと『ひまわり』プロローグ『こもれび』 予約開始 | トップページ | うみねこTVアニメ版 メインキャスト決定 »

ゲーム」カテゴリの記事

ライトノベル」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49030/42009313

この記事へのトラックバック一覧です: MJ文庫J 片岡とも ナルキッソス 感想:

« ぶらんくのーと『ひまわり』プロローグ『こもれび』 予約開始 | トップページ | うみねこTVアニメ版 メインキャスト決定 »