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2008/04/16

『七姫物語 第五章 東和の模様』 感想

電撃文庫『七姫物語 第五章 東和の模様』 読了です。

まず最初に作者・高野和氏へ、どうしても言いたい事。
待たせすぎです(^^;

それでも待っただけはあって、今回も良い作品に仕上がっていました。

七姫物語を知らない方も居るかと思いますので、物語の背景を説明しましょう。


東和という1つの国があります。
文化様式は古代中国を思い浮かべれば間違いないでしょう。

永らく続く腐敗政治の中で、財政は逼迫し、中央から民心は離れました。
各主要都市の中央からの独立気運は高まり、
国が分裂し乱世の世に陥るかに思えた中、
一つの緩やかな国の在り方が発生する事になりました。

それが宮都市という形です。

東和という国を保ちつつ、各主要都市は、独立自治権を得たのです。
その際の大義名分として使われたのが・・・七姫になります。

つまり先王の隠し子と呼ばれる姫を、宮家として擁立する事で、
各都市それぞれが正統なる政権を謳ったわけです。
各都市は、姫を擁立した順に、一宮、二宮、三宮と、順に宮都市を名乗りました。

各都市は他都市の正統性を否定しつつも、
大規模な武力衝突はせず、絶妙な均衡を保ちつつ、
宮都市の連なりから成り立つ東和の新しい国の形を形成していきました。

中原から流れ着いたテン=フオウ、知略に長けたトエル=タウ。
二人の野心家が、先王の血筋とは縁も所縁も無い幼い女の子を
あろう事か七姫として擁立し、
七宮カセンの名を東和全土に知らしめた件を発端に、
七人の姫を取巻く一つの時代・・・「七姫物語」の時代が始まります。


4巻までの記憶が薄れているので、間違った情報もあるかもしれませんが、私の頭の中では上記の通り理解されているようですよ。(いい加減)


つまり、中央集権の終焉において、
歪な形で、事実上の地方分権化された不安定な国家。

大義名分に担がれた七人の姫は、出生は怪しものです。
女の子を担ぎ出してお姫様と名付け、宮都市を名乗る事。
そして擁立者として宮都市の実権を握る事が、
新たな権力構造に踏み入るチャンスでもあったわけです。

しかし少しでも匙加減を間違えれば、東和は内乱状態となり弱体化します。
北の中原の騒乱が落ち着いた頃には、
中原の覇者となった国に、弱体化した東和は飲み込まれてしまうでしょう。

権力者はお互いを牽制しつつも、
東和を再び一つの強固な国家体制に戻すべく奔走します。
それこそ東和に暮らす人々が描く、それぞれの東和の模様なのです。


七姫物語の魅力は、
東和に生きる人間が、それぞれの思いを抱き動いている事です。

正道を説くものあり、謀略を企てるものあり、
想いを遂げるものあり、騙されるものもあり、
平和を語るものあり、独立を望むものあり、
改革を掲げるものあり、国体を背負うものあり、
自らの益を追及するものあり、東和の民の平成を願うものあり、

東和に生きる全ての人の思惑が絡み合い、一つの歴史を編み上げていきます。
英雄は存在せず、悪役は存在せず、
全ての人が、その人の生において主役である小説といえば良いでしょうか?

特に不安定な世情の中、翻弄される七人の傀儡の姫君達。
彼女等は、それぞれが東和の平和と安寧を、真に願っています。
彼女等の、健気で気高い生き方も魅力の一つと言えるでしょう。

本当に各登場人物の心情描写が丁寧です。
あまりに心情描写が細やかなので、
お話の進む歩みが些か緩やかになるのが珠に瑕といったところでしょうか。


前置きがようやく終り、第五巻の感想になりますが、
七姫物語としては、大きく物語が動いた巻になったのでは無いでしょうか?
あとがきで筆者が語るように、内容が詰め込まれた章といえるかと思います。

五宮、六宮が、三宮、七宮を迎えた四都同盟を提唱し、
その実現に向けて動き出します。

一宮、二宮はというと、都市間の関係が悪化し
戦争も否応なしという緊迫した状況になっています。

旧四宮を取り込もうとする各都市の暗躍。
中原から逃れ再起を計り、東和を利用しようとする者も居ます。
そんな表向きな状況の裏で、もっと複雑な絵を描き暗躍する輩がいます。

物語は思惑を越え、東和の勢力均衡は、大きく塗り替えられる事になります。
その意味で激動の章ともいえるでしょう・・・

この勢いで行くならば、おそらく後2巻で物語は完結するのではと思います。
今回の五章は、物語のターニングポイントといえるでしょう。

 

ここまで七姫物語に付き合ってきたファンには、当然お薦めです。
七姫物語を読んだ事ない人には、1章から読む事をお薦めします。
勧善懲悪でない物語の妙を楽しんで欲しいです。
七人の宮姫それぞれの魅力を楽しんで欲しいです。

ちなみに私は、真姫こと二宮翡翠姫殿下が一番のお気に入り。
五章で一番活躍したのは彼女でしょう。
特に、五章最後のエピソード、真姫の気高さに惚れました。

みなさんも、七姫物語の世界に浸っては如何でしょうか?
きっと、お気に入りの宮姫殿下に出会えることと思います。

そして七姫とともに苦悩をこえて、
来たるべき東和の大団円を味わってみませんか?

次の巻が発売されるまで待つ苦悩も味わっちゃったり(^^;


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