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2007年9月の1件の記事

2007/09/30

「ザ・ゴール」 TOCの導入本として最適なベストセラー

1つおすすめの書籍を紹介したいと思い筆をとる。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か」である。

本書はTOC(Theory Of Constraints)、つまり制約理論を学ぶ上での導入本である。とはいえ難しく退屈な教科書チックな本ではない。あるメーカーの工場長が、生産過程における課題を解決して、工場閉鎖を回避し反対に成功を掴み取るというドラマチックなサクセスストーリーの小説である。550頁を越える長編であるが、スピード感がある展開からか、一気に読破してしまった。ビジネス書に類するを疑問に思うほど、小説としての質が高い。それでいて読み終わるとTOCの基本骨子が知らず身につくのである。

私はITシステムの開発プロジェクトを担うプロジェクトマネージャである。工場の生産管理には学術的な興味は抱くが、本業に活用できなければ、ただの知識の肥やしに終る。TOC自体は何も特別なものでない。日本ではトヨタ式生産管理というより優れた理論がありTOCよりも賞賛されている。それでは何故私は本書を紹介したのか。

最近、Microsoftの或るフォーラム(MPUF)が開催している勉強会に良く参加している。前回9/26(水)にある講演が開催された。その内容が、TOCのプロジェクトマネジメントへの活用だったのだ。

不勉強な私としてはプロジェクトマネジメントの知識はPMBOKにある伝統的なものしか持ち合わせていなかった。WBS作成時にクリティカルパスを意識する程度で、必ず発生すると言っても過言でない進捗遅延に対する、論理的な事前策を用意してはいなかった。

単にリスク管理として進捗遅延のトリガーを書きなぞらえ、金額ベースに換算し、その発生率を大まかに予測して、計画時に採算にのせて加味するか、それともコンティンジェンシーとして計上しておくぐらいの事しか考えていなかった。つまり工数を多めに見積もりバファとする事でリスクヘッジをしているだけであった。

もちろん見積が高くなれば受注率に響く、その為見積もり精度を上げる事に躍起になるのである。PMBOKではボトムアップされた見積が精度が高いとされる。作業者が見積もれば自ずと正確な数値に近づくのは当然だ。今もその考えは変わらないけれど、自らの経験則が警告する。それでも着手してもいない作業の工数を正確に見積もる事なぞ、やはり誰にもできないと。プロジェクトの定義を考えても判る事だ。プロジェクトはルーチンワークと異なり、明確な目標を達成するための有期的な活動であって、同じプロジェクトなぞ存在しない。どんなリスクを含み、それが顕在化するかは、それぞれのプロジェクトで異なるわけだ。そんな不明確な要素を抱えたタスクを正確に見積もることなぞ出来るはずがない。では、いかにプロジェクトを管理し、納期とコストのベースラインを死守するのか。プロジェクトを遂行する上で、誰もが思い悩む命題の1つである。

TOCのプロジェクトマネジメントへの活用は、上記命題に対する1つの解決方法かもしれない。具体的には、TOCを活用したCCPM(CriticalChainProjectManagement)、もしくはLPM(LeanProjectManagement)である。

講演では、これらプロジェクト管理手法が紹介されたのである。今回はその内容は記述しないし、正直に白状すると説明できない。何故ならば、私も未だ勉強中だからだ。LPMはドラスティックなPM手法であり、間違った表現で伝えると、反対に抵抗を招く事が必至である。ということで基礎となる理論の学習、つまりTOCを学ぶ必要があったのである。

今回紹介した「ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か」は小説を読むだけでTOCの基礎を掴む事ができる非常に良い導入本だった。


私は、本書に続いて同著者ゴールドラットによる同じくビジネス小説の「クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?」を読むつもりである。CCPMへのTOCの応用施策が学べるだろうと期待している。

その上で、ラリー・リーチ氏の「Lean Project Management: Eight Principles for Success」を読みたい。より実践的な手法を身につける事ができるだろう。なお洋書なので購入は気をつけて欲しい。実は来月には翻訳版がラッセル社から販売される予定だからだ。ちなみに私は、翻訳版を発売前に既に持っていたりする。翻訳者から直接サイン入りで購入したからだ。つまり彼の講演を聴きに言ったという事なのだけど。

と、最後に講演者、小林英三氏、酒井昌昭氏、両名の翻訳本の紹介もよろしく終ったという事で。

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